やっちゃんのあぐだもぐだ
過去の記事
万葉集北限の地「福島」
新元号令和のお陰です。本屋の店頭には万葉集関係の書物に帯封『祝・令和』が付くの目立ち、酒屋の店先にも令和ラベル日本酒が陳列されています。GW10日間連続休日のお蔭で温泉旅館はどこも大盛況、福島県全体が盛り上がっている感じです。さらに、にんまりしながら、万葉集に詠まれた北限の山=安達太良山である事をアピール出来るチャンス到来の思いを強くしました。
 万葉集は全4516首、うち238首が古代東国の歌が東歌です。遠江(とおとおみ)、信濃以東の陸奥まで、北限は現在の福島県となります。万葉集の巻十四全体が東歌であり、全二十巻のうちに11首が福島県の特定の場所である事がこれまでに判明しており、そのうちの三首が安達太良を読んでいます。

陸奥の 安達太良真弓 弦(つら)はけて 引かば香人(かひと)の我(わ)をことなさむ
(巻第七 1329 歌碑は昭和63年本宮町中央公民館に設置)
〔解釈;安達太良の真弓につるをつけて弓を引くようにあなたに心を寄せたら、世間では私とあなたを何と噂するでしょう〕

安達太良の 峯(ね)に伏す猪鹿(しし)のありつつも 我は至らむ 寝処(ねどな)さりそね
(巻第十四 3428)〔解釈;安達太良山には鹿や猪たちの楽園があって、そこから抜け出すことはない。あなたも動かずに、私が行くまでそこで待っていてほしい〕

歌碑は天保6年に二本松市杉田落合の俳人宅横に建立されており、当時の二本松藩の文化レベルの高さが感じられます。万葉仮名で書かれており、下部には二本松、本宮、安達太良山、三春への距離数表示で、当時を忍ぶことが出来ます。

陸奥の 安達太良真弓はじきおきて 反(せ)らしめきなば 弦(つら)はかめかも
(巻第十四 3437 昭和53年に二本松市観音丘陵遊歩道に設置)(解釈;陸奥あだたらの真弓は、弓弦を外しておいて反っくり返らせるようになったら、もう2度と弦を張ることなどできませんよ。)

因みに安達太良の枕詞は真弓です。真弓は清楚で情熱的で強靭であることの意味を持ちます。713年発令の好字令以降は、真弓の枕詞は安達に付くようになっています。
4世紀の大和朝廷日本統一から300年後の8世紀頃は、福島県が日本最北の地でありました。この1300年前の『陸奥ふくしま』の悠久イメージに触れるつもりで万葉歌碑巡りにお出かけ下さい。
写真は落合の万葉集歌碑、江戸時代の旅人も思いを寄せていたかもしれません。